SNSではさまざまダイエット情報が乱れ飛んでいます。
有益な情報であればいいのですが、怪し気なもの多く。何が怪しいかというとまずエビデンス(証拠)ベースからの情報ではなく、あくまで個人の経験や感想だからです。
CMなどでもある品物を摂取・使用し痩せたとか若返ったなど効能を示していることがあります。そして小さい字で一瞬だけ、「個人の感想・体験」と注意書きがあるなどの広告が目立ちますが、これは”打ち消し表示”と言われ禁止されています。
消費者庁からも、
“魅力的な効果をうたいながら、その効果などが実証されていない広告は、虚偽表示や誇大表示に該当し、健康増進法や不当景品類及び不当表示防止法で禁止されています。」
とあります。「個人の感想です。」、「効果を保証するものではありません」といった効果の保証を打ち消す文章を一緒に記載すれば、規制を逃れられると誤解している事業者が、根拠なく広告を行なっている場合があるので注意が必要です。悪質な宣伝、広告を見つけたら消費者ホットライン「188」、地域の消費生活センターまた保健所に知らせましょう。”
と注意喚起されています。
もし効能をうたうならどんな科学的エビデンスがあって何人中何人に効いたのかなど立証できる数字を出さなければなりません。
これからもわかるように個人の感想や体験など何の証拠にも確証にもなりません。
最も信頼のおけるエビデンスは複数の論文を分析したものです。
最も信頼のないものが個人の主張です。これはどんな権威者であろうが専門家であろうが医者であろうが、個人の主張はなんの信頼性の担保もないのです。
ネズミなどの動物実験よりも信憑性は低いのです。
ミソなのはその世界の権威者でも科学的エビデンスを示せなければ、それは個人の感想や体験談で終わりです。
権威者であろうと科学的に立証されたデータをもとに主張しなければ信頼性は皆無なのです。
もちろん一般人がいちいち科学的エビデンスを気にする必要はありません。
個人の感想や体験談は大いに結構で、私にはこのやり方が効いた!と主張してもなんら問題ありません。
水だけ飲んで100日生きたとか、ドカ食いしてもある事したら痩せたとか、個人の体験談ならたとえ嘘だとしても許されます。
ただしこれを他者に薦め、あたかも効能があるようにうたうとさまざまな面で問題となってきます。
人の身体は千差万別です。
世界一足が速いボルトから彼独自の走り方を教えてもらっても誰一人速くなりません。むしろ怪我リスクが高まる可能性さえあります。
先天的な体格の差、骨格、筋肉の強さ・長さ・しなやかさなど彼の骨格にあった走り方が誰にでも合うわけがありません。
しかしボルトがスプリントの基礎、つまりエビデンスとして確立されている走り方の基本を教えれば多くの人に効果があります。
つまりボルトが教えなくてもいいのです。ボルトは世界最速という権威付け、実績によるマーケティングの一つなのです。
ボルトだから教えられる特別な方法論はそれはボルト自身に対する方法論なのです。
誰にでも効果あると広告でうたうと問題が出てくるかもしれません。
ダイエットも同じです。
エビデンスベースの情報発信ならそれは信憑性がかなり高く多くの人に当てはまる科学的事実です。
例えば摂取カロリーが消費カロリーより増えれば太り減れば痩せるとか、加齢とともに代謝は落ちるとか、エネルギー消費をするのは大部分が筋肉だとか、有酸素運動は脂肪を燃やしやすいとか、筋肉が落ちていけば介護状態に近づくとか、厚着して運動して汗たくさんかいても脂肪が減る量は変わらずむしろ暑くて運動量が減ってしまい効果が減るばかりで水飲めば元通りなどなど。
さらに脂肪のエネルギーは7200kcalあってフルマラソン3回分の膨大なエネルギーだとか、1日の総エネルギー消費は2000前後だから3日断食しても脂肪は1kg分のエネルギーも減らないとか、1週間で○キロ減ったはただの水とか、摂取エネルギー量が少ないと筋肉が削られ骨も脆くなるとか。
こういった科学的エビデンスのない個人の感想や体験談を広告でうたう行為は詐欺と同じです。
たとえ個人のSNSでの個人の感想や体験談の主張であり、写真や動画で痩せていたり綺麗であったとしても、どれくらい健康で適正な筋肉量や骨密度で、身体を動かすことができるのかわかりません。
それとダイエットや美容とは関係ないと思う人もいるかもしれませんが、ダイエットも美容も全て身体が資本です。
身体は骨と筋肉で支えられているまさに土台です。
土台がスカスカな人間がいくらダイエットや美容を語ってもそれこそスカスカです。
そんなスカスカはロコモやフレイルなどが早期に訪れ健康寿命も短くなり、介護状態が長く続く可能性が高くなります。
たとえ1日食で痩せていったとしても、それはほとんど筋肉が削られてしまっている状態です。
筋肉は40歳代から急激に減少し、何もしてなければ60〜70歳でピークの半分程度まで落ちてしまうことも報告されています。
筋肉は身体の資本であり、何にも代えがたい宝です。
必要エネルギより摂取エネルギーが少ないと筋肉が削られてしまい、さらに運動不足も加わると、最悪の意味で鬼に金棒です。
ちょっとした転倒で骨折し寝たきりまっしぐらです。
体重を減らすことより脂肪を減らし、脂肪をぬいた体重、つまり骨と筋肉等を合わせた除脂肪体重はむしろ増やしていく努力をしなくてはいけません。
糖質は抜いてあとはいくら食べていいとか1日一食がいいとかりんごやバナナ、果ては餃子ダイエットなどという馬鹿らしいものまであります。
腹筋するだけで痩せたり、お腹が引き締まることなどもあり得ません。
フルマラソン3回分ものエネルギーを持っている脂肪1kgを、わずかな運動である腹筋だけで消費できるわけがありません。
くだらないよもやま話など即刻シャットアウトしいい食べ物、いい運動を継続して心身から充実させましょう。
それが最強のダイエットであり、これ以外は胃の摘出等の手術しかありません。