【混ぜるな危険】スキルとテクニックの違いを知れば、競技力は上げられる 

LINEで送る
Pocket

この記事は約 7 分で読めます。

スキルとテクニックは違う

ラグビー元日本代表ヘッドコーチとゴールドマン・サックス社長が教える 勝つための準備
ラグビー元日本代表ヘッドコーチとゴールドマン・サックス社長が教える 勝つための準備

混ぜるな危険

日本のスポーツ、特に学校の部活動の練習で、お互い定位置で向かい合ってのパス練習や壁当てなどよくある風景です。
正確に相手のいる位置にボールを送る、正確に投げる、蹴る、つまり正確性を重視した基礎技術練習です。
状況判断や意思決定は必要とはしません。

球技には欠かすことのできてないベーシックな練習ですが、日本ではこのような練習が非常に多いのが実情ではないでしょうか。
走り込みにしてもバスにしても、意図や判断よりも盲目的に反復を繰り返し、体に叩き込むといった職人の修行のような練習が多く、またどのカテゴリーでも監督やコーチの指示に従うことこそが勝利への道で、幼児から大学生、どこでもコーチの叱咤叱責が響きわたります。
なぜならこれもどのカテゴリーでもそうなのですが、「その競技を楽しませる」ことよりも、「その競技で勝つ」ことが最優先だからです。
陣形の意味、動きの意味を知らなくても、とにかく言われたことを正確に行うことこそが日本スポーツ界の競技力なのです。

このような現状のため、状況判断や意思決定が上手くできない選手が多いと、ラグビー日本代表前監督、現イングランド代表監督のエディー・ジョーンズは述べています。

スキルとテクニックは、日本語ではどちらも、「技術」と訳されますが両者には明確な違いがあります。
両者を混同してしまうと、一体何を目的に練習しているのかわからなくなってしまいます。

スキルとテクニックの違いを認識することが競技力向上には不可欠です。

テクニックとは

テクニックとは、まさに「技術」そのものです。
競技中の動作を切り取り、相手やプレッシャーを取り除いき練習することで、特定の技術を磨きます。
相手をつけない、もしくは防御や反撃をしてこない状態で、技術の正確性を身につけるのです。
ここには状況判断や意図は必要なく、無意識でもできるようにとひたすら体に叩き込むのです

テクニック習得には反復と継続が重要で、どのレベルであろうと欠かすことのできてない練習です。
世界最高峰のチームやトップ選手ほどこの基礎技術の反復練習をたとえ短時間だとしても日課として行います。
初心者も行うようなとてもベーシックな練習をしています。

技術は、正しい反復練習を継続的に行えば誰でも一定レベルまでは習得できます。
ベーシックな技術は競技の成立、怪我のリスク減、より高度な技術習得のためなど競技者なら基礎として体得すべきもので、これをテクニックと言います。

ラグビー世界最強のオールブラックスの選手で、世界最高峰のスクラムハーフ(密集やスクラムなど球をさばくポジション)と言われるアーロン・スミスも、下記動画のような基礎技術の練習を欠かしません。

I was at THE HIGHLANDERS training yesterday and saw the Worlds Best 1/2 back practicing like this, #halfback #passingdrills

LeslieRugbyさんの投稿 2015年2月10日(火)

日本でも当然、基礎技術練習に多くの時間を割きます。
これは決して悪いことではありません。
問題はテクニック習得のための反復練習や全体練習、状況判断や意思決定を伴わない練習法をどの技術練習でも行ってしまうことです。
つまりスキルではないということです。

ではスキルとは一体何を指すのでしょうか。

スキルとは

スキルとは、ラグビー日本代表前監督エディー・ジョーンズが言うように、
「タイミングと動作によって起こる結果の予測した行動で、知性と感性が必要なクリエイティブな行動」
、です。

テクニックとは単にパスが上手いこと。
スキルとはパスやスローのタイミングの状況判断し意思決定する能力です。
テクニックの練習ではスキルフルな状況判断や意思決定は決してうまくなりません。

競技中は常に状況が変わります。
一つの判断決断行動のプレー選択で、局面は刻一刻と変わり、選択すべきプレーも変わってきます。
想像、予測、正確な技術、創造という一連の流れはまさにクリエイティブな作業なのです。

テクニックだけ上達しても、そこにクリエイティブな能力が伴わなければ通用しません。
一定レベルのテクニックを身につけたら、必ず状況判断や意思決定をセットにし実践訓練を重ね経験値を積むことが競技力向上に繋がります。
日本のスポーツ指導では、このスキルを磨く実践訓練が少なく、画一的で上意下達的な指導が多くスキルが育たないのが実情です。
実践練習を行ったとしても、指導者の言い成りで、己の状況判断や意思決定よりも、コーチの意にいかに沿うかのほうが大切なのです。
日大アメフト部の悪質タックルなどまさにその最たる例です。

http://www.asahi.com/topics/word/%E6%97%A5%E5%A4%A7%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%95%E3%83%88%E9%83%A8%E9%81%95%E5%8F%8D%E8%A1%8C%E7%82%BA.html

スキルとは、自主性そのものなのです。
自主性の尊重なくして、スキルはありえません。
日本の体育会系にはびこる古き悪しき慣習では、スキルは磨かれません。

まとめ

競技力向上のトレーニング戦略
競技力向上のトレーニング戦略

テクニック習得し磨くことの重要性は言わずもがなです。
競技上達には、テクニックの習得、レベルアップは必須です。

しかしテクニックだけでは勝つことはできません。
正しい状況判断と意思決定があってはじめて正確なテクニックがいかんなく活きるのです。
状況判断と意思決定のトライ&エラーの繰り返しでこそスキルは磨かれます。
ベーシックなテクニックの土台の上で発揮されるクリエイティブなスキルこそが勝敗を大きく左右します。

日本ではテクニック重視の練習が多く、スキル練習になると途端に指導者からのミスを許さない叱咤する指導が選手を萎縮させ意思決定能力の向上を阻みます。
失敗に怒るのではなく、なぜどういう状況で、なぜその選択をしたのか、せざるを得なかったのか選手に考えさせ、また指導者もなぜ選手がそういう選択をしたのか、テクニックが正しく発揮できなかったのか真摯に考えなければいけません。

つまり失敗こそがスキル向上チャンスなのです。
日本ではいかに失敗させないか、そして失敗は「悪」という風潮で、指導者は怒り、競技者は落ち込む、そして失敗を恐れ、萎縮し、クリエイティブが失われるといった悪循環が起こるのです。

体育会系の古き悪しき指導方法では状況判断がうまくクリエイティブな意思決定ができるスキルフルな競技者は生まれにくいのが実情です。
テクニック練習とともにトライ&エラーを繰り返し状況判断と意思決定能力を磨くことがスキル向上に繋がります。
イメージトレーニングでも効果があると言われているので、一人でもスキルを磨くことはできます。

テクニックとスキルの違いを理解し、自分には、チームには何が足りないのか、どちらに偏っているのか把握しすることが大切です。
「技術」で一括りにするのは卒業しましょう。

LINEで送る
Pocket