【ラグビー選手をグループ分けし比較した結果、ある驚きの事実が!】ベンチプレス何kg挙げる?って体重100kgと70kgで比べていいの?というお話

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ラグビー選手でも知らなかった真事実

ラグビー 最強・最速になるヤマハ式肉体改造法 (ヤマハラグビー部の㊙トレーニング)
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ラグビー選手の身体測定

面白い論文で、ラグビーの意外な真実が明るみに出ました。
ラグビーファン、プロからアマチュア、草ラグビー選手まで、またどのアスリートも筋トレ好きにも面白いデータです。

誰もが力自慢で大きい選手は、相対的にも力が強いと思うはずです。
スラッとした俗に言う細マッチョで俊足の選手が初速の段階では大柄の選手より圧倒的に速いはずです。

しかし横綱白鳳とウサイン・ボルトのスタートダッシュでは白鳳のほうが速いというデータもあります。
中京大の湯浅景元教授によれば身長192cm、体重158kgの白鵬の立会スピードは毎秒4m、ウサイン・ボルトはが毎秒4.01m。
初速だけみれば白鵬はボルトとほぼ同じ速さでスタートしているのです。
次に速いのが、横綱千代の富士の毎秒3.9mです。
これは1991年に100mで9秒86の世界新記録を叩き出したカール・ルイスのスタート直後の速度に匹敵するそうです。

このように体格だけではわからない選手の能力に着目すると面白いものが見てきます。
ラグビーはもっともフィールドで同時にプレーする競技人数が多いスポーツです。
また体格もサッカーやバスケ、バレーボールなどと違って、身長が高い人小さい人、太っている人痩せている人、筋骨隆々の人細身の人、長距離自慢短距離自慢、パスやキックなどスキルフルな人不器用だけどひたすら愚直な人など実に多種多様さまざまな人間で構成されています。

そんな選手たちの能力を比べてみると意外な事実が判明しました。
トレーニーではありがちな、「ベンチプレス何kg挙げる?」という会話。
これは果たして体重は加味されているのでしょうか。

体重60kgの人が90kg挙げるのと、体重80kgの人が100kg挙げるのではどっちが強いのでしょうか。
絶対値では後者の100kgですが、相対値では前者の90kgです。

では体重60kgの人が挙げる120kgと体重100kgの人が挙げる200kgではどうでしょうか。
そんな研究成果を発表した論文です。

筋力、パワー、加速力、持久力を比べてみた

全国大学選手権出場レベルの大学ラグビー部を対象とし、以下の4つのグループ群に分け比較しました。

・タイトフォワード(1〜5)  tight forward(TF群)
・ルースフォワード(6〜8) loose forward(LF群)
・ハーフバック(9〜10) half back(HB)とフルバック(15) fullback(FB)を合わせたグループ(HB/FB群)
・スリークゥオーターバック(11〜14) three−quarter back(TB群) 

測定項目は以下のとおりです。
()内は測定種目です。

・身体組成(身長、体重、除脂肪体重、体脂肪率)
・筋力(ハーフスクワット)
・パワー(ハイスナッチ)
・走速度(10mスプリント、30m50mの通過タイムより算出した推定最高速)
・加速時運動量(体重と10mスプリントにより推定したVの積)
・最大酸素摂取量(シャトルラン)

結果は非常に意外な数値が出ています。
ラグビー経験者、ラグビー観戦好きなら色々と感じ思うところがあるはずです。

残念ながらラグビーのラの字も知らない人は、ちんぷんかんぷんでしょう。
そういう人は結論だけでも読んでみて下さい。
好きな競技や取り組んでいる競技でも、もしかして同じような傾向があるかもしれません。

まずは以下の測定結果をごらんください。

a . 身体組成  TF群の身長が, HB/FB群と比較して有意 に高かった。体重および除脂肪体重は,TF群が他の3 群と比較して有意に重く,LF 群 はIIB/FB 群と比較して有意に重かった。体脂肪率は,全ての群問で有意な差は認められ なかった b . 筋力  全ての群間で有意な差は認められなかった C . パワー  全ての群間で有意な差は認められなかった d . 走速度  10mの平均速度では全ての群問で有意な差は認められなかったが,推定最高速度はTB群がTF群と比較して有意に高かった e .加速時の運動量  TF群が他の3群と比較して有意に大きく,LF群がHB/FB群と比較して有意に大きかった f . 最大酸素摂取量  TF群が他の3 群と比較して有意に低い値 を示し,傾向として最も高い値を示したのはHB/FB群であった
出典:大学ラグビー選手のポジション別にみた体力特性

筋力、パワー、走速度がすべてのグループで優位な差がなかったという驚くべき結果です。
ただ気をつけないといけないのは、筋力とパワーは絶対値ではなく、相対値です。
つまり体重比筋力(%body weight)です。
ベンチプレス100kgを挙げる場合、体重70kgと90kgの人では相対的筋力は体重70kgの人のほうがあるということです。

驚くべきは走速度です。
どのグループの平均速度も10mスプリントでは差がなかったということです。
数十キロ体重差があるTB群とTF群で初速で差がないのは驚きではないでしょうか。
ただしTB群とTF群では最高速度は有意に差があったということで、やはり体重が重いとスピードに乗ることは難しいのでしょう。

しかし運動量を比べるとどうでしょうか。
運動量とは、体重と10mスプリントにより推定したVの積です。
全力でぶつかりあったときのコンタクトパワーなどラグビーに欠かせない「運動量momentum」能力です。
ラグビーが、「Rugby is a game of momentum」と言われる所以はこのためです。

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20mシャトルランで測定した最大酸素摂取量では、TF群が他の群より明らかに低く、HB/FB群が高くなっています。
身体の大きいTF群、特にプロップ(スクラム最前列の両端の1、3のポジション)も含まれているためこのような結果となるのは仕方ないでしょう。
これが両ロック(最前線を後ろから押す4、5のポジション)だけなら数値も大きく変わっていたでしょう。

またHB/FB群にはチーム一の体力自慢スクラムハーフが入っているのが、TF群との差を大きくした要因の一つでしょう。
プロップとスクラムハーフで最大酸素摂取量の勝負の結果は火を見るより明らかです。
これはグループ分けの問題でしょう。

体重比ではあるものの、FWは筋力、パワーが圧倒的に強く、BKは圧倒的に脚が速いと思いきや、そこまでの差がないことに意外と思う人も少なくないでしょう。
ただ筋力、パワーは絶対値ではFWが強いのは事実です。
また体格も明らかに大きいにも関わらず、初速はBKと変わらないのは凄まじいことです。
まさに白鵬とボルトです。
運動量momentumが大きいということはラグビーでは圧倒的な有利になります。

Wilks係数

さてここまでさまざまなポジションのグループで、さまざまな項目を比べてきました。
ここで少し疑問が生まれます。

体重70kgの人がベンチプレス100kg挙げるのと、体重100kgの人がベンチプレス100kg挙げるのではどちらが強いか、これは明らかに前者です。
では体重70kgの人が140kg挙げるのと、体重100kgの人が200kg挙げるのではどちらが強いでしょうか。

これをただの体重比で計算すると同じ力となりますが、実際は絶対値の後者のほうが力持ちです。
140kg挙げる人と200kg挙げる人では、200kgの方が力持ちと誰もが思いでしょう。

しかし相対値だけでみると世界で一番力持ちなのは昆虫になってしまいます。
自分の体重の何十倍もの重さを口だけで引きずり、自分の身長の何十倍もの高さをジャンプします。
象など大型の獣などただの体重相応の力持ちになってしまいます。

相対値である体重比や絶対値ではなく、「Wilks Formula(Coefficient):ウィルクス・フォーミュラ」という計算式を使えば、体重が違う者同士、より厳密にどちらが純粋に力が強いのか比べられます。

オーストラリアのパワーリフティングCEOであるRobert Wilks氏が考案したものでベンチプレス、スクワット、デッドリフトに使える計算式です・

実際の複雑な計算式は下記を参照下さい。
参照: Wikipedia Wilks Coefficient

複雑な計算を自分でしなくても、下記のサイトで簡単に算出できます。
Gender(性別)、Bodyweight(体重)、Lifted Weight(挙上重量)を入力すれば、Wilks Pointsが参照されます。
http://wilkscalculator.com/kg

BIG3の合計Wilks Pointsが300以上で初心者卒業ということです。

上記のTwitterでも、
体重100kg以上の人なのか、60kg程の人なのか、男なのか女なのかで話はだいぶ変わってきます。
表面的な数値だけに捕らわれるのではなく、パワーの詰まっている肉体づくりを心がければ、自ずと競技にも活かせる肉体になっていきます。

ラグビーは、大きな体をいかに速く動かせるかが重要であり、かつ80分間動かし続けられるか能力(間欠性運動能力)が重要です。
10mスプリント、20mシャトルランなどで能力が高い選手は、疲労が溜まってもタックルスキルの低下がより小さく、さらに外傷の可能性も低くなるという結果も出ています。

まとめ

強くなりたいきみへ! ラグビー元日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズのメッセージ (世の中への扉)

強くなりたいきみへ! ラグビー元日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズのメッセージ (世の中への扉)
「ベンチプレス何kg挙げる?」と聞くよりもWilks係数はいくつと聞いたほうが実用的です。
力自慢の豚にならないように意識しておくことは大切です。

ラグビーは、「体重×スピード」のスポーツです。
どちらが欠けていてもいけません。
またどちらも秀でていても間欠性運動能力が低ければ、無用の長物です。
そしてこれは全てのスポーツに携わる人に求められる能力です。

力が詰まった体づくり、そして最大酸素摂取量の強化して、使える肉体づくりを作り上げましょう。

参照:大学ラグビー選手のポジション別にみた体力特性
参照:日本経済新聞 白鵬、スローな四股が生んだボルト並みの速さ

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