【プロアスリート喫煙問題】「プロだから結果が全て」で収まる話なのかどうか

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喫煙は権利?

早死にしたくなければ、タバコはやめないほうがいい (竹書房新書)
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減らないアスリートの喫煙

先日、以下のような記事がヤフーニュースにあがり、さまざまな議論を呼びました。
減らないプロ野球選手の愛煙家

この記者は、自身が18歳から煙草を吸い40歳でやめたと堂々と記事中で言及した挙句、記事内容もあまりに斜め上からの内容で、せっかくの「アスリートの煙草」というテーマが、元の木阿弥となってしまい残念です。

未成年でなく大の大人が嗜好品として合法のもと喫煙を楽しんで、なおかつプロとして結果も出しているのだから外野がガヤガヤ言うんじゃないという意見も多くありますが、はてしてそれはどうなのでしょうか。

ファン獲得、子供への周知・育成、公共の福祉の点から考えてみます。

プロとして生計を立てるために

まずプロ野球選手だけでなく、プロアスリートはその競技で生計を立てています。
生計を立てられるのは、当然本人のたゆまぬ努力と才能などさまざまな複合的要素で成り立っているわけですが、それはなによりも応援してくれる、観てくれるファンが大勢いるからにほかなりません。

競技が興行的に成功していなければ、たとえプロでも食べていけません。
興行的に成功しなければ食べていけないのは当然です。
競技で食べていけるのは、企業がスポンサー、多くのファン、そして競技者がいるからです。

つまりプロアスリートは、自らの競技成績だけを追及するだけでは足りず、競技の周知、普及、ファン獲得をしなければいけません。
普及できなければ競技人口が増えないばかりか、大口のスポンサーもつかなくなりどんなに競技でいい成績を残せるアスリートでも生計を立てることはできなくなります。

日本でプロ競技者として活躍したくてもできない競技は山ほどあります。
それでもプロ競技者として生計を立たたいのならプロのある国に行くしかありません。
そして地道な普及活動をして、個人でのスポンサー獲得や競技のメジャー化を計っていく気の遠くなるような道を歩まねければなりません。
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普及とは、会場に足を運んでもらったりテレビ視聴、競技実地者、ファン会員、グッズ販売などがあり、お金を落としてもらえる競技にしなければプロは成り立ちません。
そのなかでも重要な位置を占める子供たち。
子供たちに将来の選手やファンになってもらわないと競技の広がりはなく、競技の未来はありません。

子供への普及

子供への普及活動は競技の周知や競技体験とともに、体を成長させるための栄養摂取や睡眠など指導することも多くあります。
体を作る栄養素、体を動かすエネルギーとなる栄養素、体を整える栄養素など、タンパク質や糖質、脂質、またビタミン類はなんの食材に多く含まれ、その栄養素がどういった働きをするのか指導します。

物事を考え主体的に動き、自己を管理し積極的に行動することの大切さも教えたりします。
プロアスリートはまさに子供のお手本なのです。
それは生活態度も含め、子供はアスリートを尊敬の眼差しでみてのです。
まさに模範です。

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そんな憧れのアスリートが、体に害のある煙草を吸っている姿を子供がみたらどんなふうに感じるでしょうか。
「これは大人の嗜みなんだよ」と諭すのでしょうか?
「君も大人になったら好きなだけ吸いな」と教えるでしょうか?
「煙草でリラックスすることも自己管理」とうそぶくでしょうか?
「吸わないなら吸わないほうがいいよ」と自己矛盾したことを言うでしょうか?

煙草が体に悪いことなど子供でも知っています。
保健体育でいかに健康被害があるか、自分だけでなく周りの健康も奪う、心肺機能を低下させることも知っているでしょう。
文部科学省でも小学校で、たばこに関する教育の指針を出しています。
喫煙防止教育等の推進について

一体アスリートとたちは普及の現場で、ファンの前で、子供たちの前で、煙草についてどう語るのでしょうか。
しっかり煙草に関しても語るべきです。
部活動に励む高校生の喫煙問題はいつでもあり、場合によってはチームが出場できない事態まで起こしてしまっています。

煙草をやめることで1%でもアスリート能力が向上するのなら、本来はプロアスリートは当然として、競技者として高みを目指す全レベルの選手たちは煙草をやめるべきなのです。

プロアスリートでなくても監督や指導者でも、未成年がいる競技場で喫煙している光景は多くあります。
副流煙なども問題となっている中、競技をしている青少年の近くで煙草を吸うなど言語道断です。
喫煙コントロールという自己管理ができない指導者が選手に自己管理を教えるなど本末転倒です。
まるでライザップのトレーナがー太っているようなものです。

プロアスリートは子供たちと共にあるのです。
競技の未来を、プロアスリートの生計すらも背負って立つ人材が子供たちなのです。

見えないところで吸えばいい、煙がいかないように配慮すればいいと言うかもしれませんが、プロアスリートとしての姿勢の問題でもあります。
己の身体能力を0.1%でも高めようと日々絶え間ないトレーニングを必要とするプロアスリートが、それに反する行動はまったく合理的ではないばかりか、子供たちのお手本にもなりません。

プロアスリートは子供たちの憧れであり、ヒーローなのです

他人にも害を与え兼ねない煙草を、合法だからとやかく言われる筋合いはないと一蹴していい問題ではありません。
それにもかかわらず、喫煙はマナーに頼るところが大きいのが大きな問題です。

子供たちが遊ぶ公園、通勤通学路で堂々と煙草を吸う人は未だ多くいます。
駅前や公共施設などは条例や独自ルー等で禁止されていることもありますが、それ以外の場所は「モラル」に任されてしまいます。
マナーに訴えるのではなく法的な罰則を設け、吸える場所を限定し、「吸わない権利・吸いたくない権利」を守るべきです。
これは後述する公共の福祉に深く関わってきます。

煙草で健康が損なわれること、第三者にも害を与えることは厚生労働省でも明示されています。
喫煙と健康問題について簡単に理解したい方のために(Q&A)

WHO(World Health Organization)でも煙草の規制を強く推し進めています。
たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約

東京五輪、オリンピックも2020年に開催され、たばこのないオリンピックを掲げる国際オリンピック委員会(IOC)、世界保健機関(WHO)は日本の受動喫煙対策を「世界最低レベル」と評価しています。

個人の権利はあくまでも公共の福祉に反しない限り行使できるのです。
喫煙を個人の権利として声高に主張しても、個人の自由が、公共の福祉に反する場合が、その権利が制限されてもしかたないのです。
法学館憲法研究所 第9回「公共の福祉」ってなんだろう?

企業のバックアップ、サポートを受けて生活を営むプロアスリートが、喫煙は個人の自由、プロだから結果を出していればいいんだという姿勢は自分ばかりだけでなく競技そのものの首を絞めてしまいかねません。

自分だけは良いのではなく、子供たちがさらされている喫煙問題にも目を向けなくてはならないのです。
プロで生活している以上、競技を愛しているからこそ、子供たちのことを第一優先で考え、多くのファンから愛される選手でなければなりません。
そのためにはスポーツ界全体で再度「喫煙問題」に向き合っていく必要があるのではないでしょうか。

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